寺裏庵

こたつ(そろそろアウト)と自作スタンディングデスクもしくは普通のデスクと腰が痛くならない椅子で仕事する在宅Terralienです

セミナー参加メモ「骨太なクラウドエンジニア”になるためのロードマップ」

Manfred StegerによるPixabayからの画像

LPI-Japanが主催する「骨太なクラウドエンジニア”になるためのロードマップ」オンラインセミナーに参加した際のメモを置いておきます。

クラウドベンダーが見るクラウドの今後

AWSエバンジェリスト 亀田さん

AWSには現在200を超えるサービスがある。 これらは初期費用はなく、従量課金型なので高い柔軟性を持つ。

今のクラウドと社会情勢

コロナによりライフスタイルが変わった。

出社不要の流れが来ているため戻らないと思っている。

※一方でテスラやホンダといった現場重視の流れはある

リモートワークやセキュリティに対する投資判断が難しかった。

VPNリモートデスクトップといった技術があるのでリモートワーク環境を一週間で整えた会社もある。これはクラウドコンセプトがあったからこそできたこと。

AWSは現在世界数百万・日本で数十万の企業が使用している。 クラウド技術はここ数年のコロナ禍でフェイルセーフネットワークとしても機能していた。 会社が一気に休みになるなど、今まで使っていなかった時間でネットフリックスなどの娯楽利用時間が増えた。 これらエンタメサービスが急激に増加したトラフィックに対応できたのは、AWSでの適切なスケーリング技術によるものがある。

全体的に見るとオフピークの企業からエンタメサービスへとリソースが最適化されて対応できた。

SDGsは世界から厳しく見られている(日本ではそうでもないが)

クラウドはオンプレよりエネルギー効率が良い。 再生可能エネルギーの調達企業。三菱とタッグを組んで6.5GWを調達しておりその量は世界一。

仮想化技術

電気・ガス・水道といった(インフラ)サービス業は歴史的に従量課金化する。 スーパーマーケットや美容室などのサービス業も歴史的に従量課金化する。当然ITも従量課金化する。

次は?

米国のTOP500企業は創業時期1970年代で17%、2000年は50%しか生き残っていない。 これはWebで簡単に比較検討をできるようになって、サービス利用期間が短くなったため。 日本はまだここまで変化は起きていない。しかし米国で起きたことは日本でも発生するため、いつ日本で発生するか柔軟性を持った基盤で備えなければならない。(つまりクラウドが必要)

ITサービス・オフィス・ワーカーが流動化していく。 ワーカーは複業が推進されるなど。 エンジニアはスキル・キャリアを自分で決めるしかない。つまりセミナーで情報収集するなどの勉強が大事。

学びの方程式

興味*義務*情熱=結果

  1. 興味 とりあえず5時間やることで向き不向きを調べる

  2. 義務 期限を決めて資格を取るなど

  3. 情熱 興味は減衰していくが、情熱は人からもらえるので維持することができる

これら3つを取り入れていくことで継続が可能。

みんなで行けば怖くない=ユーザーコミュニティに参加すると良いかも。 AWSコミュニティJAWS-UGに参加しませんか?

今トレンドとしてCI-CDが流行っているなどの情報がわかる。

なので基本を学ぼう

既存のネットワーク知識は役に立つ

AWSでは毎日6000万台の仮想サーバー(インスタンス)が起動されている。インスタンスにはLinuxなどのOS知識が必須なのでLinuxなどを学ぼうという結論。

真に頼られるクラウドエンジニアになるために

TIS株式会社 野口敏久氏 横井公紀氏

第一部

オンプレミスからクラウドを経験したエンジニアが語るエンジニアの本質

オンプレ時代とクラウド時代のエンジニアの違い

オンプレ時代

  • 完全分業制
    • サーバー
    • ネットワークなど
  • HW選定があるためサイジングや消費電力を考える必要
    • HWには5年のライフサイクルがあるので設計が手間
    • データセンターのスペースを考えるなど
  • 物理作業がある
    • 自社で検証した後に分解・梱包してデータセンターに送る

クラウド時代

  • 比較的小数メンバー
  • ただし幅広く知識が必要
  • 物理作業はほぼない(NWは別)
  • コードが書けないとしんどい(IaCは必須)

スキルセット

スキル幅より専門性が求められたため分業が出来た。 物理の知識は減ったもののクラウドでは全体的に幅が求められてしまう。

  • クラウドを使いこなすスキル
  • セキュリティ
  • クラウドのパーツコーディネーション
  • 新機能追従
  • IaC
  • オンプレのスキルは合った方が良い程度

クラウド時代の勉強法

学生時代より社会人のほうが勉強時間が多いのがエンジニア

クラウドエンジニアの勉強法

  • 無償枠を活用
  • オンラインテキストが多い
  • コミュニティーに参加する
  • Blogを参考に学習 次は会社の環境が必要
  • 会社の検証環境で勉強する

いずれも利用できており環境には恵まれている。

オンプレエンジニアの勉強法

  • 自社ラボで勉強
  • メーカーから機器を借りる
  • 有償のトレーニングを受ける ここまでは会社でやる必要
  • 秋葉原で聞きを買って自宅で勉強

つまり大変な学習コストがかかった

クラウドエンジニアは会社+自分で育つ

  • 会社で育つことが可能か?
    • OJTや社内コミュニティー、社外研修などのチャンスが有り、自習は他の社員(競合)との差別化要因
  • お金はかかるか?
    • オンプレミスに比べたら少額投資
  • 市場価値をあげる
  • 資格も自分の市場価値
    • スキルセットとして資格が有効
    • 資格は基礎知識+現場力を表せる
  • 経験も必要
    • 会社で貰える機会を活用する

真に頼られるエンジニアとは?

ベーススキル+現場力の両方を持つ。 ベーススキルはあって当然なので現場力を身に着けていく。

コミュニケーション能力 人と仕事をするということを忘れずに。特にお客様との。

技術をお金に変える プロは技術をお金に変えている

トラブル時に活躍できる ベーススキル+現場力(経験)を発揮できる

運も必要 ウェビナーに参加するなどで成長機会を得る

第二部

SierのCCoEと社内技術者コミュニティが進めるエンジニア

横井さんはAWS全冠

エンジニア育成がテーマ

基礎をおろそかにしないことが全てのエンジニアの糧になる

まずは基礎固めして応用を積み上げていく

(感想)とはいえ基礎力とはなにか??

実業務と資格取得の関連性 資格をとることに対する考え方。 資格だけでは能力はと得ないという考え方はあるが逆に現場力だけでは不足する部分もあるのではないか?

網羅的な理解・体系的な理解を得ることが資格をとることのメリットではないだろうか。

つまり基本+応用+専門とそれぞれのレイヤーで重ならない知識・経験がある。

専門知識を求める場合 基礎が広く広がることで差別化ポイントではなくなるので自ずと高いレベルの資格を目指す技術者が増えるのではないか?

やろうと思えばできるが、いきなり専門性を求めるよりは基礎力を固めていく方がいいという考え方。

基礎を重要視する新人育成

未経験者の底上げを目的に基礎力向上を中心としたカリキュラム システム基盤基礎研修 Web3階層を中心としたスタンダードなもの プロジェクト型演習で実施

システム基盤応用研修…

まあとにかくTISでは基礎学習を重点的に行っている。

エンジニアの交流に関する課題

人とのつながりでイノベーションや新しい技術が発展する 困ったときの助け合いもたやすくなる 勉強会やLT大会から生まれる関係も大事

これらのプラットフォームの構築が必要

Cloud Center of Exellence(部門)

TIS社内全体でAWSの利用を促進する 社内コミュニティTAWS-UGに1900名の社員が参加している 情報共有やスキルトランスファーに役立っている

コロナ前から拠点によらず全社的にチャットツールでの交流を行っている 研修参加に対して意図などをメッセージとして発信することで参加者のマインドが前向きとなる

リモート中心だと自身の目標が会社の方針と合っているのかということに実感を得にくいので、これらに参加することで意識を前向きにし、お互いに良い影響を与え会えることになる。 TOPから社員まで共通理解を持てることで文化醸成が可能

AWS CLFを全員取ろう

まずは共通理解が必要ということでTIS社内で1000名が保有している。

プレミアムパートナー(高度資格保有数が多いほどTierが上がる)なので高度技術者を目指すべきという意見もあったが、結果的に次の段階を勉強する人が増えた。

これらの学びは共有することで技術力向上、知識向上、プレゼンス向上、ナレッジ蓄積と全てが影響し合える。

まとめ

基礎固めは遠回りに見えるが実は近道

資格へのチャレンジは知識の幅を広げることにつながる。 知識と経験はどちらが先でもいいが、知識へのチャレンジをする意義はある。

技術は人から人に伝わって発展していく 教えられるようになることが大事

初心者の学習ステップと認定が必要な理由

LPI-Japan

Linux技術者の育成と普及を目的として設立

鈴木敦夫理事長

技術者認定を通してエンジニアの持続的成長サイクルを支持している

ITを取り巻く環境と学習上の大事なポイント オープンテクノロジーの技術者認定とベンダーの認定資格は補完関係である ベンダーのサービスを利用するには、仕組みとしての本質的技術の習得も合った方がいい。

この2つを学ぶべきである。

モノ・コトの繋がりが共創(Open)の価値が増大した

通信速度は40年で10億倍となった。 インフラだけでなくITでは多くのオープンソーステクノロジーが使われているのは事実。 オープンソースは今や技術の最先端となっている。ネットワークの進化により多くの人が使えるようになり、使われ方が変わっていった。

オープンな世界で活躍するIT技術者が持つべき3つの要素

技術の使い方(IaaSやSaaS)ではなく仕組みを理解

ネットワークやOSを学ぼうということ

自ら考え能動的に行動

積極的に様々な取り組みに参加

強みを持ち活用できる技術ネットワークを持つ

強みを活かす多くの人とのネットワークで可能性が広がる

OSSを通じで技術を学ぶとこれらの要素が身につきやすい

初心者の学習ステップ

  • 技術の成り立ち、背景を理解
  • ステップを踏んで学ぶ
  • 実際に手を動かす
  • 考え方の幹となる技術を体系的に学ぶ
  • ソースコードから学ぶ(どういうコードがいいのか?)
  • 成果を見える化し、得意領域を明確にする(認定を活用)

自身を成長させるイメージを持つ

  1. ITで何ができるか、仕組みは?
  2. 基本的なアーキテクチャ
  3. 得意領域を作っていく

【PR】IT-BASICという教材を7月リリースしました! 【PR】LinuCレベル1・2 ※新L3は現在開発中

OPCEL(オプセル) 仮想化技術 CKA・CKS(K8s)CKAD HTML5 その上にAWS Professionalなど

LinuC1、2を取った後にAWSSAA、SAPという順番を勧めている

※この技術的知識習得の流れならDevOpsルートを対象にしてはと意見を送った

以降はパネルディスカッション

クラウドエンジニアへの道

野口さん 20年以上前はOJTがメインだった。上司が作った環境を見せてもらって学ぶなど 今は恵まれていて羨ましい。

亀田さん クラウドコンピューティングというのはいろいろなものが抽象化されており、結果時間が生み出されているのでこれらを何に使うかということを考えると骨太なエンジニアに慣れる。 たとえばシステム運用を例に取ると、オンプレでは死活監視がメインだがクラウドでは自動でスケーリングするため監視の役割が変わってくる。システム目的に合わせて運用方法を変えていくことができる。より強くビジネスにコミットしていくことができる。

横井さん コミュニケーションについて体験談 コロナ禍での育成施策を捉えるワードが変わってきた。受講生が集まって生まれる会話、連帯感、一体化が今後の仕事につながっていく。育成施策をする側がこれらコミュニケーションの仲介をする必要が出てきたのかと感じている。意図的にブレイクアウトルームなどを設ける、コミュニティを設置するなど仕掛けを考えることがすい新型が新たに大事にするポイントとなってきた。

鈴木さん 現場の中で学んでいくことは重要、新たに作られた時間で何をするかが重要、FacetoFaceでのコミュニケーション不足に対する工夫も重要。コミュニケーション参加は今の時代だからこその人との関わりだ。

クラウドエンジニアの市場価値

横井さん 新しい技術がこれから出てくるのでキャッチアップをしていきましょう。 今まで使ってきた技術と何が変わったか、何ができるかということを考えれると良い。 納得行くまで手を動かして試した経験を語ることができることをゴールにしよう。

野口さん 会社のトレーニング+自分での投資が差別化につながっていくが、評価するのはお客様。 お客様にパフォーマンスを出していくことが市場価値へとつながる。 ブログや外部への登壇で自分の市場価値を上げていく。定量的評価の一つが資格取得なので取得することでアピールに繋がる。

進行さん

対外的な基準や自信につながる。

亀田さん クラウドエンジニアの立場や位置づけ日本と海外の違い 日本のソフトウェア開発はSIerが高いが海外はそうでもない。いるのはいる。プロマネやPMOが社内にいる。 日本ではある程度ブラックボックス化したなかでSIerに依頼してしまう。(責任範囲が曖昧なため静的なありふれたシステムを納品する)アメリカではユーザーの要望を素早くキャッチアップしてCICDの仕組みづくりをする。責任範囲が明確になっているためできること。

これからのクラウドエンジニア

亀田さん

私も月収17万円といった時代があり、それを抜け出すために必死で資格取得をした経験がある。 その点クラウドは学びやすい、月数百円で学べるので今の立場から脱出したい場合有益な学習プラットフォームである。 CCNAは当時学習機材(実機)が手に入らないため手が出なかった。

野口さん IT・クラウド世界はスピード感が速い。若い人が吸収することでチャンスが多くある。

横井さん クラウド技術は今までの技術をより便利にし、スピードも速い。これからも発展するので今やっていることをいかに便利にしていくかということがエンジニア冥利である。自ら積極的に手を出していくことに面白さがあるので取り組むべき。

鈴木さん 総括 いろんな知見を皆さんに伝えることが出来た。(クラウド)エンジニアの必要性がましているということから、CICDなどの業務にITが使われるようになってお客様とSIerの役割分担(責任分担)を明確にする必要性がでてくる。クラウドエンジニアが成長するにはやはり基礎力が大事。それに基づいて新しい技術を学び続ける。広がりを持ってコミュニティに参加して発信していくことをお伝えできたと思う。

質疑応答

教育に最適なディストリビューションは何?

鈴木さん CentOSの期限切れがあるのでよく聞かれる、無償のRHEL系・デビアン系だとUbuntu、日本だとミラクル・リナックス

AWSはマルチクラウドを推進しないのか?独占するのか?

亀田さん それはお客様の意向やSIerだとかの都合による。ユーザー企業はどれかでよい。なぜなら学習効率が半分で済むので。学習スタックを縦に割り振ったほうが効率がいいのではないか?

基礎が大事だが、インフラエンジニアの基礎とは?情報工学が必要なのか?具体的に何?

鈴木さん IT-BASICでITの全体像をつかむ。次はComputer Scienceに行ってほしいが学習コストが重たいのでLinuCがコスパ良い。コンピュータの全体像が学べる。 全部学ぶのは無理なので幹をしっかり学ぼう。それによって視野が広がり次に何をするべきかが見えてくる。

大学時代より勉強時間が増えたというがエンジニアになってどのくらい勉強しているのか?

野口さん ブログとか記事を書くときはエビデンスを得ることが必要なので平日でも2-3時間より多い。 セミナーとかの原稿を記事化するときは平日・休日問わず。生活パターンがバレるということもあるが、具体的に何時間ということはない。

以上、セミナー受講しながらのメモなので内容に相違があったらお教えください。

感想

基礎の上に応用を積み上げていく、キャッチアップと継続が大事だよという感じで概ね納得できる内容のセッションでした。 事実、アウトプットを積み重ねて資格取得したことでそこそこの待遇でのキャリアチェンジが実現しました。 また、キャッチアップしていくことができると自信になったため今後の不安もほぼなくなりました。